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ハワイの幼稚園受験(プナホウ・イオラニ)

常夏の楽園ハワイにも「受験戦争」があるのをご存知でしょうか?ハワイの二大人気校といえば、オバマ大統領が卒業したプナホウスクール、そして学業優秀なアジア系生徒が多いイオラニスクールです。両校とも150年以上の歴史、充実した設備、優秀なスタッフ、各界で活躍する卒業生、そして潤沢な資産を有する幼稚園から高校までの一貫私立校です。プナホウ・イオラニは大学進学を目的としたプレップスクール(準備学校)で、毎年の大学進学率はほぼ100%。進学先リストにはハーバードやイエールなど世界最難関とされるアイビーリーグ8大学をはじめ、スタンフォード、MITなどの名門大学が名を連ねており、子どもにトップ大学進学を希望するハワイの教育熱心な家庭から絶大な支持を受けています。両校とも入学枠(受験可能学年)がある学年が、幼稚園、6年生、7年生、9年生(プナホウは4年生もあり)と決まっているので、何年生で合格を目指すのか、事前のプランニングが重要です。またアメリカの受験はテスト成績や内申書の内容だけでなく、スポーツや芸術分野での活動実績やリーダーシップなど、生徒の能力と人格を総合評価して合否を決定するので長期的な受験戦略が必要です。

アメリカの小学校ではどう英語を教えるのか?

地方分権が定着しているアメリカでは教育行政は各州政府に任されています。各州(さらに州内の学区や学校)が独自に教育の枠組みや基準を設定しているため、地域による学力差が大きく、不平等であることが長年問題になっていました。これを解決するために2010年にオバマ政権によって作られたのが、全米共通の学習(カリキュラム)基準であるコモンコア(Common Core State Standards)です。コモンコアは2021年現在、全米50州のうち41州で導入されています。(コモンコアには強制力がなく、導入するか否かは各州政府の裁量によります。)リーディング(読解力)の比重が高いコモンコア移民の国アメリカは「英語を母国語としない子ども」の英語教育研究に長い歴史があります。膨大なエビデンスをベースに作られたコモンコア英語カリキュラムは、いわばアメリカの英語教育の集大成です。コモンコアを知ることは、英語を第二言語で学ぶ日本人にとっても大いに参考になるはずです。コモンコアはキンダーガーテンから高校卒業までの13年間のカリキュラムで構成されています。英語は、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの四技能に分けられ、それぞれの領域の習熟目標が明示されています。英語カリキュラムで特筆すべきは「リーディング/読解力」の比重の高さです。「リーディング」はさらに「基礎力」「文学」「情報テキスト」の3...

日本の英語教育の欠点

アメリカの子どもたちは小学1年生になると、毎日短い本を1冊読むこと、あるいは20〜30分間の読書が宿題として義務づけられます。なぜ文字を習い始めたばかりの小学1年生に大量の読書を要求するのかというと、多読によって「リーディングフルエンシー/読みの流暢さ」を身につけることが、子どもの学力向上に直結するからです。 読書啓蒙活動を行う「The Children’s Reading Foundation」の調査によると、アメリカの学校カリキュラムの「85%以上」は「読むこと」で構成されていることが分かっています。つまり小学校低学年の時期に「本を早いスピードでスラスラと読み解ける力」を獲得できれば、あらゆる教科学習の習熟がスムーズに進むというわけです。読む量が少なすぎる日本の英語教育全米の4年生、8年生(中学2年)、12年生(高校3年)を対象に実施されている全米学力調査(National Assessment of Educational Progress)の結果を見ると、小学4年生時にリーディング力(読解力)が弱い生徒は、8年生、12年生になっても改善しないことが分かっています。つまり小学校低学年の時期に満足なリーディング力を身につけておかないと、学年が上がってから取り戻すことが難しくなるのです。日本でも小学3年生から英語の授業が始まりましたが「コミュニケーション」が強調され過ぎていて「英...

英語でシェークスピアが読めますか?

高校2年生の時に中国からアメリカに(家族で)移住してきたという中国人女性と話をする機会がありました。彼女はアメリカ西海岸の名門大学、UCバークレーをトップで卒業している才女です。大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、シリコンバレーの有名IT企業でシステムエンジニアとしてキャリアを築き、現在はハワイに居を移して悠々自適の生活を送っています。私が「アメリカの学校に通い始めた時、英語で苦労しませんでしたか?」と聞くと「会話は少し苦労したけど、学校の勉強は難しくなかったです」と平然と言うのです。きっと幼い頃から英語の英才教育を受けてきたのだろうと思い、「いつ英語を習い始めましたか?」と質問すると「中学校からです」という驚きの答えが返ってきました。中学から英語学習をスタートして、わずか4〜5年でアメリカの授業についていける英語力を獲得したという彼女。中国では優秀な学生が通う「実験高中」と呼ばれる進学校に通っていたそうですが、一体どんな方法で英語力を身につけたのでしょうか?

2020年英語教育改革と英語格差の拡大

20年前までは日本と並んで「英語下手」とされた韓国ですが、ここ20年で急速に英語力を伸ばしています。2017年のTOEFL iBT平均スコアを見ると、アジア29カ国中11位と、英語が公用語である香港と肩を並べるレベルまで英語力を向上させています。(同年の日本のスコアは29カ国中27位で、過去20年間下から3〜4番のまま)グローバル化に飲み込まれた韓国韓国が真剣に英語と向き合うきっかけとなったのが、今から約20年前に起こったアジア通貨危機です。通貨危機後、韓国政府は国家を挙げたグローバル化政策に取り組み始めました。教育面では1997年の英語教育改革によって、それまで小学4年生から特別活動として行なわれていた英語を、小学3年生からの正式教科へと格上げしました。指導内容もそれまでの「文法訳読法/文法と翻訳を中心とする教授法」からリスニング、スピーキング、ライティングなど、実用性重視のカリキュラムへと方向転換したのです(2008年からは小学1年で英語教育がスタート)。このような社会環境の変化が、もともと教育熱心で知られる韓国人父兄たちの「英語熱」に火をつけました。韓国の裕福層は早期留学、英語学院、家庭教師など、私教育を充実させることで英語力をどんどん強化していきました。 その一方で、そこまで教育費はかけられない中間層以下の家庭の子どもたちは学校の授業頼みでした。その結果、家庭の経済力によっ...

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